スタティック点灯

プログラム06-1は、全てのLEDに電流を流し続けてLEDを点灯させています。このように、電流を流し続けてLEDを点灯させる方法をスタティック点灯と言います。

今回は、このスタティック点灯で特に問題なくLEDを全点灯させることができたかもしれません。ただし、この方法は常にうまくいくとは限りません。

スタティック点灯による全点灯の問題点

マイコンのピンの出力性能、LEDの特性、抵抗の値などは、理想的には全て全く同じ振る舞いであってほしいのですが、現実には特性に若干の差異があります。

一方、ドットマトリクスLEDを使う場合、並列に接続された複数のLEDがひとつの電流制限抵抗を共有することになります。

列方向で同時点灯させる場合

本コースのドットマトリクスLEDの場合、各列のLEDがそれぞれアノード側でひとつの電流制限抵抗を共有しています。この時、同じ列内の各LEDのアノード電圧は同じ値になり、理想的には各LEDには電流制限抵抗を流れる電流の8分の1が流れることになります。

図6-1 列方向のLED

しかし、各LEDを流れる電流を8等分する仕組みは回路上存在していません。各LEDには順方向電圧と同程度の電圧がかかりますが、LEDを流れる電流の大きさは順方向電圧付近では電圧やLEDの微妙な特性の違いに対してかなり敏感です。そのため、電流を流しやすいLEDがあるとそこに電流が集中して他のLEDの電流が減り、それがLEDの明るさのムラとしてあらわれる可能性があります。

図6-2 列方向のLEDと特性のムラ

1行だけ点灯させる場合

一方、行方向のLEDに関しては、各LEDに電流制限抵抗が付いています。各LEDの電圧や特性の微妙な違いがあったとしても、1行だけ点灯させる場合であれば、それらは他のLEDに影響を与えることはなく、各LEDの明るさは安定することが期待されます。

図6-3 行方向のLED


それでは、ドットマトリクスLEDの明るさを安定的に揃えるには、どのようにすれば良いでしょうか?

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